「コモディティ型の企業」とはどんな企業のことでしょうか。
コモディティ = 商品??
さて、長期投資においては、どの株に投資するのか、銘柄選びが最も重要です。
なぜなら、将来の自分の資産に大きな影響を及ぼすからです。
例えば、長期チヤートを眺めていて、この時に買っておけばと思う株があります。
いわゆる「成長株」です。
バフェットの投資法の基本は、将来的に成長が見込める企業を見定めて、悪材料で安くなったところを買う投資法です。
例えば、株式市場全体が暴落、また個別株に悪材料が出て大きく下落し、企業の価値以上に売られた時にここぞと大量の買うのです。
バフェットは銘柄選びの天才ですが、そんなバフェットが投資を避けた企業群があります。
それは「コモディティ型の企業」です。
コモディティ型の企業とは
バフェットは、投資するに値しない、魅力がない会社のことを「コモディティ型」の企業と呼んでいます。
「コモディティ型」企業を一言でいうと、特徴のない商品、ありふれた商品を取り扱っている企業のことです。
消費者がメーカーにこだわることなく、安い方を購入する商品を取り扱っている企業。
つまり商品の値段が最大の選択肢であり、「安けりゃいい」という商品を取り扱っている企業が「コモディティ型」の企業なのです。
コモディティ型の企業とはどんな業種?
バフェットはコモディティ型の企業として次の業種をあげています。
・航空会社
・穀物生産
・鉄鋼製品
・石油・天然ガス
・林業、製材
・紙、パルプ
・自動車
日本企業の実例では
日本の企業での過去の実例を考えてみました。
以下のような業種が分かりやすいと思います。
航空業界では
航空業界は、格安航空会社(LCC :Low-cost carrier)の出現によって値引き合戦の末に過当競争が続いています。
消費者は安い航空券を探します。
消費者にとって目的地に向かうコストは低ければ低いほど有難いわけです。
電力業界では
また、電気についても小売業への参入が全面自由化されました。
全ての消費者が、今や電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになっています。
消費者は電気を少しでも安く提供してくれる電力会社を選びます。
こちらも過当競争、価格競争に突入しています。
以上のように、
消費者がメーカーにこだわらない。
価格を比較して安い方を購入する商品を製造販売している企業がコモディティ型の企業です。
今後、国の規制緩和が続くと考えられます。
国の制度に守られているような業種は規制が緩和されると優位性が無くなり、ご存じのよに価格競争にさらされてしまいます。
コモディティ型の企業の特徴
バフェットはコモディティ型の企業の特徴として以下の点をあげています。
・商品にブランド価値がない
・商品の競争相手が多い
・商品の業界に過剰生産能力がある
・売上高利益率が低くも在庫回転率も低い
・利益が不安定
・自己資本利益率(ROE)が低い
・利益の設備の稼働率に対する依存度が大きい
次は、以上の一つ一つを見ていきましょう。
「商品にブランド価値がない」
取り扱っている商品に付加価値が無い、どの企業から購入しても同等な商品で、ほぼ差別化されていない商品を取り扱っている企業です。
例えば、ヴィトンのように高級バックにはブランド価値があり人気です。
しかし、電気にはブランド価値ありません。
「俺のうちは東京電力の電気を使ってんだよ、どうだすげだろ」とはならないですね。
「商品の競争相手が多い」
同等の商品を取り扱っている競合企業が多い場合はブランド価値がなければ過当競争、値下げ合戦となりやすいのです。
都心のフィットネスクラブは入会金免除や月会費割引などの値下げ合戦を繰り広げてお互いの経営を圧迫させました。
「その商品の業界に過剰生産能力がある」
多少、需要が増えても業界がすぐに生産能力を高めて供給できる能力を有しているような商品を取り扱っている企業です。
最近ではマスクの供給が追い付かずネットなどでも高値で販売された。
しかし、現在は政府の補助金などにより企業の生産設備が拡充され、多くの企業がマスクの生産を始めた結果、需給が安定しマスクが値下がりしたのはご承知の通りです。
「売上高利益率が低くも在庫回転率も低い」
売上高利益率は企業の決算から読み取れます。もちろん高い方ほど優良企業です。
また、在庫回転率が低ければ、在庫が売り上げに変わるまで時間がかかり、利益に結び付くまで時間がかります。
「利益が不安定」
消費者の動向や景気、季節要因などの動向に大きく左右されて利益が不安定な企業です。
「自己資本利益率(ROE)が低い」
自己資本利益率とは、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。
以下の計算式で算出できる値で日本の上場企業の自己資本利益率の平均は10%程度。
「自己資本利益率(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100」
自己資本利益率は高いほど優秀と判断されますが、コモディティ型の企業ではこの数値が低い傾向にあります。
「設備の稼働率に対する依存度が大きい」
設備の稼働率が経営に直接影響するような企業です。
何らかの影響で設備の稼働率が下がれば業績に大きな打撃を受けます。
また、設備や土地には毎年固定資産税や償却資産税がかかり、経費増につながります。
大きな土地や建物、設備を保有している企業ほどメンテナンス料金や税金が大きくなります。
例えば、大規模な感染症の影響でフライト数が激減した航空業界は、飛ばなくても航空機のリース料の支払い、飛行場の使用料、また飛行機の定期的なメンテナンスが必要であり経営を圧迫します。
まとめ
以上、「コモディティ型の企業」の特徴や性質をご紹介しました。
企業の成長性を見極める上で、バフェットの「コモディティ型」を判断基準に入れるととても分かりやすいです。
大切な資金を活用するからには、効率よく資産を増やさなければなりません。
この記事が、少しでもあなたのお役に立ち、優良株との出会いにつながりますよう心から祈ってやみません。
最後に金融英語を少しだけ
成長株 growth stock
値上がり益 capital gain
割高株 overvalued stock
自己資本利益率(ROE) Return On Equity
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