熟年離婚が増えています。
夫婦の仲が険悪な状態が続き精神的、肉体的にもう無理、限界、双方が納得し離婚するならお互いにそれなりのメリットがあるでしょう。
熟年離婚では「定年退職を契機として、妻から離婚を切り出される夫」のパターンが多くなっています。
それは平成19年に年金分割制度が施行され、婚姻期間中の対象年金が離婚後は折半されることになり、長年にわたり主婦をしてきた妻は離婚後の生活を描きやすくなりました。
家庭は安泰と思っていた夫、妻に離婚を切りだされ、寝耳に水、青天の霹靂、突然の離婚宣告に夫のダメージははかり知れません。
反面で、性格の不一致やお互いに別のパートナーができたなどが理由で、夫から離婚を切り出すケースもあります。
いずれにしても、熟年離婚は子どもや親戚なども巻き込み、相当なエネルギーを要することは明白です。
できれば、関係を修復して、もう一度やり直すのが一番なのですが、すでに関係が崩壊して修復不可能な状況となっていることもあります。
熟年離婚では、妻から夫に離婚を切り出すケースが圧倒的に多いと述べましたが、妻が夫へ離婚を口にした時、妻は既に有識者や友人、離婚経験者に相談し、ある程度離婚後の生き方を計画しています。
また当然のことながら、一番重要なお金のことも、年金の分割のほか、退職金や預金の分割で離婚しても経済的な見通しが立っていることを前提に離婚を口にします。
離婚を全く予期していなかった夫は慌てふためき、大きな精神的ダメージを受けることになります。
本記事のタイトルを「熟年離婚の男性のメリットとデメリット、男性のダメージは?」としましたが、メリットがデメリットとなったり、その逆となる場合もあり、白黒はっきりと区別するのは難しい部分もあります。
よって、メリットの中にデメリットも書き添えてあります。
熟年離婚での男性(夫)のメリット
日頃から妻と離婚したいと思っている夫に妻から先に離婚を切り出されればメリットは多いかもしれません。
しかし、熟年離婚に限定すると、妻に対して余程の嫌悪感を持っている場合を除き、男性の方が不利となるケースが圧倒的に多いことを心得ておきましょう。
熟年離婚は、メリットの中にデメリットが共存している場合も十分にあり得ますので、各項目を自分の現在の状況にに置き換え、当てはめて検討してみて下さい。
新たなパートナーを探せる
離婚時に外に不倫相手やパートナーがいなかったとしても、人生100年時代、最近は熟年での結婚や再婚が増えていますので、新たに婚活することで素敵なパートナーを見つけたり、再婚できる可能性はあります。
65歳の定年退職時に離婚したとすれば、その後の第二の人生は20年以上もあります。
もしかしたら、素敵なパートナーを見つけて穏やかな老後を暮らせるかもしれません。
しかし、結婚相談所などからパートナーを紹介してもらうにしても、入会金や紹介料を支払う必要があり、簡単にパートナーと巡り合える訳ではありません。 ちなみに高齢者の成婚率は1%程度といわれています。
また、悪質な結婚相談所やパートナーも報告されており、紹介者とグルになって詐欺的な行為をしている場合もありますので、慎重にすすめることが大切です。
新たなパートナーと出会い、再婚するにしても、ある程度の財産を持っていなければ難しいです。
つまり、熟年貧乏のところには女性は近づきません。
自由気ままに生活できる
熟年離婚をして一人になれば、誰にも気兼ねすることなく自由気ままに生活することができます。
健康で元気であれば、好きな時に好きな事をしても、愚痴や避非難を浴びせられることなく、ストレスフリーの生活が待っています。
しかし、一人暮らしは、離婚後には開放感があったとしても、次第に独り身の寂しさが襲ってきます。
また、病気をしても看病してくれる人がいません。
対策としいて、積極的に外出したり、周囲の人とコミュニケーションを取るように心がけて、孤独にならないようにしなければなりません。
地域のイベントやボランティアに参加したり、趣味を見つけて仲間とつながるようにしましょう。 つながりがあれば、もしもの時に助けてもらえる可能性が高まります。
妻の親戚との煩わしさから解放される
熟年離婚をすれば、妻の親戚縁者との関係も切れますので、冠婚葬祭などに参列したり、関連費用を支出する義務、必要がなくなります。
婚姻中に妻の親戚と良好な関係が築かれていた場合は、離婚後も交流が続く可能性はあります。
その様な関係は大切にしておいた方か、後々のためにも良いと思います。
妻の暴力から逃れられる
暴力的な妻と暮らしていた場合は、その暴力から逃れることができます。
最悪、保険金目当てに夫が殺害されるケースも頻繁にニュースになっています。
昔は、暴力は夫から妻に対する行為と認識されていましたが、近年は妻が夫に対してパワハラ、モラハラ行為が行われるケースが増えています。
妻の暴力も増えているのですが、夫のストレスは計り知れません。
自分から離婚を切り出せない気弱な夫、妻から離婚を切り出されるのは稀なケースかもしれませんが、こんな妻から逃げられれば大きなメリットといえます。
この場合は、デメリットは少ないでしょう。
精神的ストレスから解放される
妻との同居が精神的な負担になっている事もあります。
パワハラやモラハラとまではいかなくても、妻の存在そのものがストレスになっている夫もいます。
そんな思いをしている夫にとって、怖くて言い出せない離婚を、妻から離婚を切り出されれば、好都合ではないでしょうか。
熟年離婚での男性(夫)のデメリット
一般的に定年退職後の熟年離婚では、妻よりも夫の方が断然不利です。
離婚後、妻が生き生きと活発に行動し、夫は自宅でひっそりしているケースが多いからです。
人は人と支えあい、交流する動物です。離婚して独り身になって孤独となるのは男性です。 孤独は百害あって一利なしです。
すでに夫に不倫相手がいる場合
夫に不倫相手がいて、妻と離婚したいと思っている場合、一見すると夫にとっては渡りに船、好都合かもしれません。
しかし、夫の不倫が原因で妻から離婚を切り出された場合は慰謝料を請求される可能性が大です。
それこそ、夫に莫大な資産があれば、慰謝料を払ってお金も婚姻関係も完全に清算できればメリットも大きいかもしれません。
もし、夫や不倫相手の女性に預金や不動産などの資産がなければ、前妻に裁判を起こされ給与を差し押さえされて悲惨な状態になることも想定されます。
こうなれば、不倫相手だった女性にも逃げられる可能性が高くなります。
孤独になって孤独死のリスクが高まる
多くの場合、家族の窓口となって隣近所や地域とのお付き合いをしていたのは妻です。
離婚して妻がいなくなれば、これらのお付き合いも途切れてしまいます。
離婚後に夫が自ら積極的に関係を築くことが出来ない場合、孤独になり孤独死のリスクも高まります。
冒頭にも述べましたが、孤独は百害あって一利なしです。
孤独自体に健康リスクとして、1日タバコ15本を吸っているのと同様であることが報告されています。
熟年離婚のメリット「自由気ままに生活できる」でも述べていますが、孤独にならないように、積極的に他人と関わり、コミュニケーションを図りながら、生活することが大切になります。
家事の一切を自分でしなければならない
これまで、妻に家事の大部分を依存してきた夫にとって、洗濯、掃除、料理、後片付けなど、全て自分でするか、もしくはお金を払って家政婦を雇わなければなりません。
婚姻中に夫が積極的に家事に関わってきたなら、別ですが。
当然の事ながら「メシ!」「おい、お茶!」と言っても何も出てきません。
全て自分で賄うセルフサービスとなります。
年金が半分になり生活の効率が下がる
平成19年に年金に関する法律が施行されて、離婚した場合、婚姻期間中に該当する年金額を折半できることになりました。
ですから年金のほぼ半額は妻のものです。
生活の規模が縮小するため、家庭の経済効率が悪くなり、これまでよりも出費が負担になります。
まとめ
熟年離婚における男性のメリット、デメリットについて書きましたが、既に外にパートナーがいて、そのパートナーに資産が十分あるなど、余程のことがない限り、熟年離婚は圧倒的に男性にとって不利です。
しかし、妻の暴力や性格不一致など精神的、肉体的にダメージが大きい場合は、離婚して妻から逃れたほうが以後健康的に暮らせるでしょう。
いずれにしても、熟年離婚は多大なエネルギーを要しますし、離婚後も多くの不利益が発生しますので、関係を修復して、もう一度やり直せる余地があれば、話し合いましょう。
離婚は夫婦共にダメージがありますが、実態は少し違っても、世間一般に妻には「長年我慢してきたから離婚は良い選択では?」、夫には「妻をないがしろにしてきたのでは?」などのレッテルを貼られる傾向があります。
熟年離婚に限らず、離婚は男性に対してマイナスイメージがつきまとうのは致し方無い事かもしれません。