伝説の投資家に学びたいと思い『世界で最も読まれている「株の名著10選」』を拝読しました。
この本には、天才投資家たちの生きざまや投資に対する考えや投資方針が書かれていたので簡単にまとめてみました。
先行き不透明な相場が続きますが、日々の投資の参考になれば幸いです。
著書では名著10選を紹介しています。
この中から本サイトでは、「ウイリアム・デルバート・ギャン」、「ジェシー・リバモア」「ベンジャミン・グレアム」、「フィリップ・アーサー・フィッシャー」、「ウイリアム・J・オニール」、「ピーター・リンチ」、「バフェット」の7名の伝説の投資家をご紹介します。
この著書に書かれている投資家の大半は1929年の大暴落とその後の大恐慌、第二次世界大戦を経験しています。
厳しくて重苦しい社会の中で大富豪を夢見て投資の世界に身を投じ、実際に夢を叶え巨万の富を築いた伝説の投資家に学ぶところは少なくないと思います。
ご紹介する全ての投資家に共通するのは、誰かの真似をすることなく、自分の頭で考え独自の投資法を編み出し行動したことです。
まずは、サイクル理論で知られているギャンです。
株価の真実・ウォール街 株の選択
著書名:「株価の真実・ウォール街 株の選択」
著者:ウイリアム・デルバート・ギャン(1878年6月6日 – 1955年6月18日)
時代背景:アメリカ経済がバブルと大恐慌、戦争という波乱に満ちた時代
ウイリアム・デルバート・ギャンの生涯
予言をことごとく的中させ、抜群の成功率を誇った天才的な投資家と言われています。
しかし、一方で大儲けと無一文を繰り返し、なんと20年で40回以上も無一文になりました。
ギャンは無一文になっても気落ちしませんでした。
一旦市場から離れて失敗の原因を分析し、冷静な気持ちで再び相場に挑戦する不屈の精神を持ち合わせていました。
凄まじい根性と精神力の持ち主ですね。
最終的には5000万ドルの財産を築き上げました。
ギャンの主な投資戦略
ギャンの主な投資理論はサイクル理論です。
ギャンは「株式や先物を計算するにあたり、過去の歴史を調べ、そのサイクルがどうなっているかを見つけ出す。相場は過去の歴史の繰り返しであり、それから先の動きを予言することが可能である」と述べいます。
この理論は、ギャンは敬虔なクリスチャンであったことからの発想のようです。
聖書の一節に「かつてあったことは、これからもあり、かつて起こったことは、これからも起こる。太陽の下、新しいものは何一つない。見よ、これこそ新しい、と言ってみても、それもまた、永遠の昔からあり、この時代の前にもあった」の記述があり、ギャンはこの思想を投資理論に応用したのです。
「テクニカルに関する28ヵ条を提唱」
ギャンは、相場を張る時のテクニカル的な心得として、以下の28ヵ条を提唱しています。
1、一度の取引で資金の1/10以上損失が出るようなリスクは取らない
2、取引ごとに必ず損切り注文を出す
3、過剰な売買をしない
4、含み益が出たら、損切りラインを切り上げる
5、トレンドが分からない時は取引しない、トレンドに逆らった取引はしない
6、迷ったら市場から出て、迷いが無くなるまで戻らない
7、活発な市場でのみ取引する
8、特定銘柄に集中投資しない、リスクを均等に分散する
9、指値注文はせず、市場でついた株価で成り行き注文する
10、正当な理由がないのに手仕舞わない
11、取引で儲けた余剰利益は別の口座に蓄積する
12、配当目当で株を買わない
13、ナンピンはしない
14、忍耐を失って市場から出たり、待ちきれず市場に入らない
15、小さな利益と大きな損失を避ける
16、損切りラインを置いたらキャンセルしない
17、市場に頻繁に出入りすることは避ける。
18、買いと売りの両方を使い分けて儲ける
19、価格が低いとか高いからと言って買ったり売ったりしない
20、支持線を抜けるのを待って買い増し、支持線を割るのを待って売りましせよ
21、買い増しする場合は発行株数の少ない銘柄を、売り増しする場合は発行株数の多い銘柄を選択せよ
22、買い建ての銘柄が下落した場合、ヘッジのために別の銘柄を売ってはならない、市場からいったん撤退し別の機会を待て
23、正当な理由が無い限りポジションを変えない。取引は一定のルールに従い、正当な理由で取引をする。その後はトレンドが変わる明確な兆候が無い限り市場から撤退しない
24、長い期間での取引で儲けた後は、取引量を増やしてはならない
25、天井や底を推測しようとしない、本当に天井か底かは市場が見せてくれる
26、相場を知らない人の助言に従ってはならない
27、最初に損失を出したら、後は取引は増やしてはならない
28、間違って入って、間違って出れば二重の間違いになる
など数多く投資の心得を提唱しています。
投資に生かせる学び
ギャンが提唱した金言・格言はいくつかありますが、私には「連続して儲けた後に2~3回まずい取引が続いた時は直ちに相場から手を引いて休め」が心に響きます。
損を取り戻そうとして焦るあまり、普段はやらない取引に手を出して損失を大きくした経験がよみがえります。
取引にあたっては、熱くならず冷静さを維持することが重要ですね。
ギャンのまとめ
ギャンは何度も一文無しになりましたが、落胆することなく失敗を振り返り反省し、原因を徹底的に究明して次の取引に生かしました。
損切りの取引は早く忘れたいものですが、振り返って反省することで同じ過ちを繰り返さにいように努力しなければなりません。
私も過去の取引きで損失を取り戻そうとして熱くなって冷静な判断が出来なくなり、より値動きの激しいリスクの高い銘柄に手を出して損失を大きくした経験があります。
損失が続いた時は相場から手を引いて休むこと、「休むも相場」の格言です。
負けが続いた時は外出、散歩に出かけ気分転嫁しましょう。
世紀の相場師ジェシー・リバモア
著書名:「世紀の相場師ジェシー・リバモア」
著者:リチャード スミッテン
投資家:ジェシー・リバモア(1877年7月26日 – 1940年11月28日)
時代背景:アメリカ経済がバブルと大恐慌、戦争という波乱に満ちた時代
リバモアの生涯
リバモアは、前述のウイリアム・デルバート・ギャンと同時代に生きた天才投資家であり、空売りで巨万の富を築いたことで知られています。
リバモアは幼いころから数学的な才能に恵まれ、農業に従事させようとした父親に背いて家出し、ボストンの証券会社で黒板に株価を書くチョークボーイのアルバイトで生計を立てました。
チョークボーイをしているうちに株の動きにはクセや法則があることを知り株価を予想する能力を身に付けました。
16歳の時に約1000ドルを貯めて相場師として独立。
当時は株を注文してもタイムラグが大きかったため希望の株価で約定できませんでした。
そこでリバモアは時価の値動きを当てる「バケットショップ」に入り浸るようになります。
チョークボーイをしていた時に身につけた株価を予想する能力を発揮し、ことごとく株価の動きを的中させて荒稼ぎをしました。
「バケットショップ」は、リバモアが参加すると商売あがったりとなるため出入り禁止にしました。
その後、リバモアは相場の転換点を読むのが得意でだったので、転換点で買いや空売りを仕掛けて財産を築き上げました。
1929年の大暴落を予想、空売りを仕掛けて大儲けをしたことは今でも語り継がれています。
一説には大恐慌の引き金を引いたともいわれている伝説の投資家です。
しかし、リバモアは株や商品で大儲けをした一方で、投機に失敗し生涯に4度も破産しています。
また、私生活では2度の離婚を経て3度目の結婚後に投機に失敗、破産してホテルの一室でピストル自殺をするという壮絶な人生を送っています。遺書には次のように書かれてあったそうです。
「いよいよどうにもならない事態になった。何もかもどん詰まりのところまで来た。これ以上頑張ることはできない。もうだめだ。私は落伍者だ」
自殺の前には、離婚した妻が息子を銃で撃つという悲劇も起きていました。
なんと悲しい結末でしょうか。
自殺の原因は諸説あって、当時の妻が関係していたとする説もあります。
リバモアの主な投資戦略
下降トレンドから上昇トレンドへの転換点がきたと判断した時は、まず少数の株を買って様子見。
次に、株が更に上がればもう少し買い増して様子を伺います。
何度か繰り返すうちに、本格的な上昇相場に入ったと判断すると大きく買い増し。
また、買いでも空売りでも損切り注文の重要性を唱えています。
ただ、生涯で4度も破産していますので、時々損切りを実行できなかったのかもしれません。
前出のギャンも同様に40回も一文無しに陥っていることから、リスクの高い商品に手を出して損切りが遅れたのかもしれません。
自分と共通する点もあり、すごく親近感を覚えてしまいます。
投資に生かせる学び
リバモアの金言・格言はいくつかあります。
「投機はビジネスでありギャンブルではない」
「入手できる有益なデータを駆使して、能力のかぎり学び理解しようと決意すべきである」
「株価の変動を予測するには明確な根拠を持たねばならない」
以上の様に、「投資は安易な気持ちですべきではない」とを述べています。
学習を怠らず経営者の目線で収益を上げることを第一優先、慎重に取引すべき、ということですね。
リバモアのまとめ
リバモアは投機的な取引きで生涯に4度も破産していますが、リスクヘッジの教えもあります。
中でもトレンドの転換点で「一度に買わず、又は一度に売らず」様子を伺うこと、
そして、トレンドが明確になったと判断した時点で大きく「買い増し、又は売り増し」をすることです。
自分の経験からも、仕掛けが早すぎるて「だまし」にあったり、「急反転」にあって、大きな損失を食らったことがあります。
リバモアが最も警戒していたのは、市場の動きではなく人間の感情の動きでした。
自分の感情をコントロールできない限りは、相場で勝つことは難しいということした。
賢明なる投資家
著書名:「賢明なる投資家」
著者:ベンジャミン・グレアム(1894年5月9日 – 1976年9月21日)
時代背景:アメリカ経済がバブルと大恐慌、戦争という波乱に満ちた時代
グレアムの生涯
グレアムは1894年にロンドンのユダヤ系家族の末っ子として生まれ、1歳の時にニューヨークに移住しました。
小さい頃から成績優秀で大学卒業後に証券会社に就職。
1926年にニューマンと共同で投資会社「グレアム・ニューマン社」を設立しましたが、直後に大暴落に見舞われて大打撃を受けました。
この大暴落をきっかけにして、徹底的に株式投資の研究、ドットと共同で「証券分析」を出版、大ヒットしました。
「証券分析」は証券関係のバイブルとして現在も読み継がれています。
その後グレアムは単独で「賢明なる投資家」を出版、こちらもベストセラー、ロングセラーとなりました。
これらの著書を愛読したウォーレン・バフェットはグレアムに師事するため教鞭をとっていたロンドン大学に進学、紆余曲折の末に「グレアム・ニューマン社」に入社し証券アナリストとして勤務しました。
グレアムは1956年に引退し「グレアム・ニューマン社」も解散しました。
投資に生かせる学び
投資とは詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指すと定義し、この条件を満たさない売買を投機的行動であると述べています。
株価が実体価格を大きく下回っている銘柄を買い、値上がりして実体価格を上回れば売る、逆張り投資法。
これをグレアムはプライシング手法と命名しています。
グレアムのまとめ
グレアムは、ウォーレン・バフェットが「生涯の師」と呼ぶ伝説の投資家です。
グレアムの投資法は、実体価格以下の値がついている銘柄を買い、実体価格以上に値が上がったら売る逆張り投資法です。
もちろん、グレアムに師事したウォーレン・バフェットも同じ投資法です。
グレアムの投資手法は長期投資で、この投資法の難しいところは対象となる銘柄選びと言えます。
狙った銘柄が現時点で株価が実体価格以下としても、将来的に現状の収益を割りむことがないという確固たる見通しが必要になります。
投資後にも財務状態や収益状況を継続的に監視して、予想に反してマイナス方向への変化が見られたときにはその程度を把握し対処することも必要です。
フィリップ・フィッシャーの『「超」成長株投資』
著書名:フィリップ・フィッシャーの『「超」成長株投資』
著者:フィリップ・アーサー・フィッシャー(1907年9月8日 – 2004年3月11日)
時代背景:アメリカ経済がバブルと大恐慌、戦争という波乱に満ちた時代
フィッシャーの生涯
フィッシャーは、1907年にサンフランシスコで生まれ、スタンフォード大学ビジネススクールを卒業、その後サンフランシスコの銀行に入社し、証券アナリストとして活動している時に1929年の大暴落遭遇しています。
その後、第二次世界大戦で陸軍で軍務に就き、事務を行うかたわら、投資の研究を続け、新たな投資原理を発見しています。
投資に生かせる学び
フィッシャーの投資方針は、成長株への長期投資、投資先企業に対してかなり踏み込んだ経営情報を調査しています。
フィッシャーは、企業価値を評価するための「15のチェックポイント」をあげています。
企業の財務状態、内部の組織体制やマネージメント能力、収益の継続性、製品の開発能力、販売力、そして社員の環境など多岐にわたっています。
1、少なくとも数年は収益が増え続けることを可能にする十分な市場可能性のある製品やサービスをもっているか
2、現在売れている製品の需要がほとんどなくなったときに、経営陣には会社の収益をさらに伸ばすような製品やプロセスを開発・発展し続ける決意があるか
3、企業の規模と比べて、どのくらい企業のリサーチと開発努力が効果的であるか
4、平均以上の販売組織があるか
5、十分な利幅があるか
6、利幅を改善、または維持するために何をしているか
7、労働者・従業員との関係に特筆すべき点があるか
8、企業幹部との関係に特筆すべき点があるか
9、マネージメントに柔軟性があるか
10、費用分析と会計管理は、どのくらいきちんとしているか
11、競争相手と比べて、どのぐらいその企業が突出しているかを知る手がかりとなるような、その分野特有の評価できる特徴がなにかあるか
12、利益という点で、短期間および長期間の見通しがあるか
13、予測可能な未来に、企業の成長が著しいために自己資金調達が行われ、その結果株式の総数が増大し、現在の株主が予期していた利益が、ほとんど相殺されてしまうような事態になりそうか
14、経営陣は、物事がうまくいっている時には、さまざまな出来事を投資家にどんどん話すのに、問題や損失が生じると、だんまりを決め込んでしまうようなことがあるか
15、その企業は、完璧な経営体制を敷いているか
フィッシャーは以上にあげた15のチェックポイントについて、会社のアニュアルレポートに目を通すだけではなく、実際に経営者に直接インタビューして企業情報を得ていたようです。
個人投資家は、ここまでの調査は不可能ですが、最近は投資先企業のIR部門に電話を入れて経営状況などを聞き取りインタビューする人もいるようです。
フィッシャーのまとめ
フィッシャーの投資方針は、並外れた優秀な企業を選んで買い、その企業が予想通りに成長し企業の実態価値が充実していく間は継続して保有する、という長期投資です。
数字を中心に投資先を選ぶ前出のグレアムに対して、数字だけでなく将来の成長性や競争力を重視する「成長株投資」の創始者です。
実際のところ、フィッシャーは、これはと見込んだモトローラ株を40年以上も保有し資産が100倍以上に成長したと言われています。
フィッシャーは、長期投資においては投資家の決心をぐらつかせる事も起こるが、相場に惑わされないためにも忍耐力が必要だと述べています。
自身の経験に照らしても長期保有の予定で買ったものの、市場の大きな変化に耐えきれず処分売りをしたことが何度もあり、忍耐力の無さを反省させられました。
最後にフィッシャーの有名な言葉をご紹介します。
「決算報告書の書き方が気に入ったというだけで株を買ってはならない。レポートの向こう側に隠された事実こそが投資家にとって必要だ」
オニールの成長株発掘法
著書名:「オニールの成長株発掘法」
著者:ウイリアム・J・オニール(1933年3月25日 – )
時代背景:大恐慌の時代に生まれ、戦争という波乱に満ちた時代
オニールの生涯
オニールの生涯や私生活について詳しく書かれた書物はないようです。
起業家として、1963年に証券会社「ウイリアム・オニール・カンパニー」をロスアンゼルスに設立し、その後の1984年にビジネス新聞「インベスターズ・ビジネス・デイリー」を創刊しています。
オニール著書の「オニールの成長株発掘法」は1988年に出版されて以来、アメリカで100万部を突破するベストセラーになりました。
オニールの主な投資戦略
オニールの投資法は、「CAN-SLIM」です。
「CAN-SLIM」は、成長株を発掘する時の企業の以下の様々な指標の頭文字を組み合わせた造語です。
C : 当期四半期の1株当たりの利益EPS(Current quarterly earnings )
A : 年間の収益増加(Annual earnings increases)
N : 新製品、新経営陣、新高値(New companies&products&management&high off properly formed bases)
S : 株式の需要と供給(Supply and demand)
L : 株式の需要と供給(Leader or laggard)
I : 機関投資家による保有(Institutional sponsorship)
M : 株式市場の動向(Market direction)
特にS : 株式の需要と供給(Supply and demand)とは、現在の相場全体の事ではなく、該当する銘柄が「主導している銘柄」なのか「停滞している銘柄」なのかです。
オニールは、「CAN-SLIM」を判断基準にして優良銘柄を発掘していたようです。
「成長株発掘法」と聞くと、長期投資という印象を受けますが、オニールは銘柄の動きに応じて、短期投資も取り入れていました。
オニールは以下のよ様に述べています。
「長期や短期という保有期間は問題にならない、大事なのは正しい銘柄、つまりこれ以上ないという最高の銘柄をそこしかないという正しいタイミングで買い、そして市場や一連の売りのルールが売りだと教えてくれたときに売る」というものです。
ここでの「正しい銘柄」とは、チャート上で買いシグナルの点灯であり、「売りのルールが売り」とは売りシグナルが点灯した時となります。
また、オニールの重要な投資ルールには、「利益が20%になったら確定し、損失は買値から8%下がったら損切りする」というものです。
更に以下の事を述べています。
「上昇中に買うべきで、下落中に買うべきではない。買い増しをするなら最初に買った株価よりもさらに上がったときにのみ買うべきであって、最初に買った株価よりも下がったときに買いナンピンしてはならない」
「株を買うならその年の高値付近で買うべき、株が下がって安く思えるときに買ってはならない」
「小さな損失のうちに素早く損ぎることを常に心がけて、株価が回復するのを待ったりしてはならない」
「7~8%が損切りの絶対的な最低水準である」
「損切りは素早く、利食いはゆっくり」
「株価が上昇しない銘柄は良い銘柄ではない」
オニールは前出のリバモアの著書「孤高の相場師リバモア流投機術」に出会い、マーケットに参加する目的は正しい事をして大きく儲けることなのだということを学んだといいます。
投資に生かせる学び
オニールは、株は「上昇中に買うべきで、下落中に買うべきではない」と述べています。
下降トレンドの株の下げ止まりを予想するのは困難です。
それよりも、上昇トレンドの株を買い、予想に反して下げた場合は自分の投資ルールに従い、迷わず損切りすることが重要だということです。
オニールのまとめ
著書のタイトル「オニールの成長株発掘法」から成長株を探し長期保有する投資手法だと考えていました。
実際には、オニールは長期投資の場合もあるが、株価の動きに応じて短期と長期を使い分けていたようです。
対象銘柄は上昇トレンド中の銘柄であり、底値を売って反転し上昇トレンドが明確になってから、買う投資法です。
含み損を抱える可能性は低いかもしれませんが、株の動きは誰にも予想するることはできません。
株式投資にあたっては、利益確定と損切りを明確にして、迷わず実行することが重要だとも述べています。
この点は、わが身に振り返ると、ルールを決めたつもりでも実行できないときが度々、反省させられます。
ピーター・リンチの株で勝つ
著書名:「ピーターリンチの株で勝つ」
著者:ピーター・リンチ(1944年1月19日 – )
時代背景:戦争という波乱に満ちた時代に生まれ、
ピーターリンチの生涯
ピーター・リンチは1944年1月19日にマサチューセッツで生まれ、10歳のときに父親がに亡くなり、家計を助けるためにキャディーとして働きました。
キャディー働いている時に、大企業の役員たちがプレー中に話す株式投資での儲け話に耳を傾けて情報を得ていたといいます。
ボストン大学に在学中の時に貯金で航空株を8米ドルで購入、その後80ドルに上昇したことから、その利益で教育費を納付しました。
1977年からフィデリティで株式投資委信託の「マゼラン・ファンド」を運用し、13年間で2000万ドルの資産を140億ドル、700倍まで増やした実績で知られています。
この実績からピーター・リンチは「全米ナンバーワンのファンド・マネジャー」と高く評価されています。
ピーター・リンチは、運用から手を引く直前に著書「ピーターリンチの株で勝つ」を出版しました。
著書はジョン・ロスチャイルドとの共著となっていますが、リンチから話を聞いてライターのロスチャイルドが読みやすく説得力のある文章を執筆したと言われています。
ピーター・リンチの主な投資戦略
ピーター・リンチの投資原則は「自分が知っているものに投資する」です。
「自分が知っているものを投資対象にすれば、個人投資家は過小評価されている銘柄を見つけることが可能となる」と述べています。
この言葉を裏付ける投資として、お客さんとして訪れたダンキンドーナツのコーヒーに感銘を受けた後、財務状況を調査し、投資することを決めたそうです。
また、「ゴールドラッシュの時、ひと山当てようとした人たちのほとんどはお金を失ったが、彼らのツルハシ、シャベル、テント、ブルージーンズなどを売った人たちは良い儲けになった。今日では、探すべきはノン・インターネット企業で、インターネットのビジネスから間接的に利益を受ける会社(例えば荷物の配送会社)、インターネットの流れを助けるスイッチとかネット関連の仕掛けを作っている製造業に投資すれば良い」と述べています。
その他にも、
「人気株は急騰するが、夢を追っているだけなので、落ちる時は急である」
「人気を集めた急成長産業も、遅かれ早かれ低成長産業になるが、多くのアナリストや預言者たちはこれにだまされる」
など、注意を要する点にも触れておりピーター・リンチから学ぶ点は多いと思います。
投資に生かせる学び
ピーター・リンチは「偉大な投資家のほとんどは、私が知る限り科学的技術恐怖症である。彼らは自分が理解できないものは保有しない。それは私も同様である」と述べています。
私たちは、IT企業など目新しい技術を持った銘柄につい投資してしまいます。
人気になっているので良さそうだとの判断から投資して失敗することもあります。
ピーター・リンチは、投資する企業を良く調べ、身近に商品があるなら使ってみて、さらに財務状態を調査するようにすすめています。
次の言葉に集約されています。
「少なくとも冷蔵庫を選ぶのと同じ程度の時間と努力を、新しく投資する株を選ぶ際にも費やさなければならない」
ピーター・リンチのまとめ
ピーター・リンチは長期投資です。
「私ほど長期投資に情熱を燃やしている人は他にいないだろうが、格言に言うように、それは『言うには易く、行うは難し』なのである」と述べています。
そして、デイトレードは博打であり、自宅をカジノ化することだと批判しています。
恐らくデイトレードも経験し、投資とは程遠いことを痛感したのでしょう。
デイトレードを本来の株式投資ではなく、投機的な取引だと述べています。
また、知らないものには投資をしないという強い意志を持っていました。
企業の商品を使用し素晴らしさを体験したら、更に財政状態や収益状況を調査し納得したら投資するという手法です。
株で富を築くバフェットの法則
著書名:「株で富を築くバフェットの法則」
著者:ロバート・ハグストローム
投資家:ウォーレン・バフェット(1930年8月30日 – )
時代背景:大暴落の翌年に生まれ、戦争という波乱に満ちた時代を生きた
ウォーレン・バフェットの生涯
バフェットは、大暴落の翌年1930年にネブラスカ州オマハで生まれ、その後の大恐慌や戦争時代を生きてきました。幼少期の混沌とした社会、父親が務めていた証券会社が倒産、再就職もままならず、極貧の生活を送りました。
そんな中、6歳の時に食料雑貨店を経営していた祖父からコカ・コーラを6缶仕入れて、1缶1セントの利益を乗せて販売し稼ぐことを覚えました。その後も、ゴルフのロストボールを集めて販売したり、競馬の予想表を作って販売するなど色々な稼ぎ方を経験しました。
15歳の時にはレンタルしていたピンボールを高額で売却することに成功し、未開拓の農地を貸し付けています。
その後、ネブラスカ大学を卒業後、ベンジャミン・グレアムに師事するため、コロンビア大学のビジネススクールに進学し、株式投資のノウハウを学びました。
29歳の時に弁護士のチャーリー・マンガーと組んでバークシャー・ハサウェイを買収し、大企業に育て上げました。
バフェットは投資家として成功しているだけでなく、人間的にも優れており、大富豪でありながら、贅沢に溺れるわけではなく、富の大半を慈善事業に寄付したり、金持ちへの優遇税制の非を訴えてたり、アメリカの歴代大統領に影響を与えるほどの力を持っています。
ウォーレン・バフェットの主な投資戦略
バフェットは、グレアムを生涯の師、フィッシャーを尊敬する人と述べています。
バフェットは、グレアムの投資方針ベースにして独自の投資原則を作り上げました。
将来的に有望な企業を探すルールとして次の挙げています
➀強力な経営陣によって運営される優秀な企業に投資を集中せよ
②銘柄数は本当に理解できる企業だけに絞れ、10~20が望ましい
③優れた企業の中でも、特に優れたところに、多くの資金を分配せよ
④長期で考えよ、最低でも5~10年の期間で捉えよ
⑤価格が変動しても、持ち続けよ
バフェットの投資方針は「長期的に見て平均以上の利回りを生み出しそうな株式、数銘柄に大部分の資金を投資、短期的な市場のアップダウンに反応せず、保有つ続ける」という投資法です。
投資に生かせる学び
銘柄選びは、他人が推奨している銘柄に投資するのではなく、自分で調べて選ぶべきだと説いています。
その際の銘柄選びの基準が以下の通りです。
「事業」
➀事業は簡明で理解しやすいか?
②安定している業績を残しているか?
③長期的に明るい展望があるか?
「経営」
➀合理的に経営されているか?
②株主に対して率直であるか?
「財務」
➀株主資本利益率はどうか?
②「オーナー収益」はどうか?
③売上高利益率はどうか?
④保留資産がそれ以上の市場価値を生み出しているか?
「価値」
➀企業の価値はどれくらいか?
②価値に対して割安な価格で買えるか?
バフェットは長期投資です。
デイトレードやスイングトレードは別にして、長期投資を考えている人には銘柄選びの参考になるのではないでしょうか。
ウォーレン・バフェットのまとめ
ウォーレン・バフェットは投資で大富豪となりましたが、そのお金の使い道は慈善事業への投資でした。
また、大富豪になつても贅沢をせずに倹約生活をしています。
他の伝説の投資家と違う点は、その人間性の素晴らしさです。
「オマハの賢人」と呼ばれるゆえんです。
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