個人投資家は空売り機関に狙われています。
株取り引きの初心者に向けて書きました。
成長を期待して買った株が、まさかの急落、こんな経験はありませんか?
空売り機関が関与している株は時として意味不明な下げを演じます。
いち早く、空売り機関の情報をつかみ対処すべきです。
空売り機関は強引に株価を下落させて個人投資家のろうばい売りを誘うのが常套手段。
特に「信用買い」をしている個人投資家は急な下げに耐えられず損切りを余儀なくされてしまいます。
「信用買い」とは、手持ちの資金を担保に証券会社から上限で約3倍の資金を借金して投資する方法
また、現物買いの個人投資家も、あまりにも大きな下げに驚いて投げ売りする人も出ます。
売りが売りを呼び、株の下落に拍車がかかる訳です。
株価を大きく下げたところで、「少しずつ買い戻して」利益確定するのが空売り機関。
なぜ、「少しずつ買い戻す」のかといえば、急速に戻すと、値上がりを見て買う人が増えてしまい、
空売り機関は安く買い戻せなくなるからです。
そして、特に小型株は流通している株数が少ないので、
少しの資金で大きく動く性質があり空売り機関に狙われやすいのです。
買おうとしている銘柄が空売り機関に狙われている銘柄なのか、小型のグロース株を買う時の注意点をまとめました。
主に次のことを調べます。
- 空売り機関が関与しいるか
- 個人投資家の信用買い残
そして、急落に見舞われないように対処しましょう。
空売り機関の空売りとは
空売りについてごく簡単にご説明します。
通常、株式投資といえば、株価が安いところで買って高いところで売却することで値上がり益を手に入れます。
一方、空売りとは株価が高いところで証券会社に株を借りて売却し、株価が下がった時に買い戻し、その差益を手に入れる投資法。
特に外資系投資銀行はこの空売りを得意としており、短期的に大きな収益は上げています。
ほとんどの小型株は、個人投資家は買いしかできず、空売りができません。
しかし、なぜか空売り機関はこの空売りができるのです。
この点は、不公平を感じている個人投資家も多いのですが。
でも、不平を言ったところで、そうなっているので個人投資家はどうしようもありません。
注意するしかないのです。
空売り機関は、そんな個人投資家の弱みをつき、値動きが激しい小型株の空売りを仕掛けてきます。
個人投資家が弱っているところを徹底的に空売りして攻めてきます。
ですから、空売り機関が「ハゲタカ集団」と呼ばれているゆえんです。
これは明らかに金融商品取引法上で違反行為である相場操縦だと考えられます。
しかし、空売り機関が摘発され処分された話は聞いたことがありません。
空売り機関とは
空売り機関とは、主に外資系の投資銀行です。
主力の空売り機関は以下の通りですが、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
1.Credit Suisse AG
2.モルガン・スタンレーMUFG
3.三菱UFJモルガンスタンレー
4.Nomura International
5.Merrill Lynch international
投資しようと考えている小型株に空売り機関が空売りを仕掛けているときは注意が必要です。
空売り機関が空売りを仕掛けているかを調べる方法があります。
空売り機関が狙う銘柄
空売り機関は、主に個人に人気の銘柄に狙いを定めて空売りを仕掛けます。
特に信用買いをしている個人投資家は、機関投資家の空売りによって株価が大幅に下げると信用保証の維持率が下がります。
この維持率が一定の基準を下回ると「追証」または、「売却して損切り決済」をしなければなりません。
そうすると、株価は更に下げるため、空売り機関の思うつぼとなります。
空売り機関が狙う銘柄の特徴です。
①PER(株価収益率)が異常に高い銘柄
②将来の成長性が高いと評判の銘柄
③将来の業績予想が過大な銘柄
④カリスマ社長への過大評価がある銘柄
⑤子会社や関連会社、取引先に問題がある銘柄
⑥輸出入の相手国に問題がある銘柄
空売り機関は、以上のような対象銘柄にまず空売りを仕掛けておいて、その企業の脆弱性や割高評価の証券レポートを発行して売りを誘うこともします。
ちょっと反則と思えるこようなことも利益のためには平気でやります。
現在の持ち株が空売り機関に狙われているかどうか定期的に調べましょう。
空売り機関が空売り状況を調べる
まず、投資を検討している小型株が空売り機関に狙われているかどうかを調べましょう。
以下のサイトにアクセスして、検索窓に4桁の銘柄コードを入力してください。
もし、空売り機関が大量に空売りしている銘柄であれば、注意が必要です。
空売り機関に大量に空売りされている場合、空売り機関は、いずれは買い戻しをしなければなりません。
空売り機関の買い戻しに便乗して値上がり益を獲得すれば良いではないかという意見もあります。
しかし、空売り機関は空売りと買い戻しを頻繁に行っているので、動きが読めない事が多く、
切り返して上がり始めたと思っても、戻りの高値付近で再び、三たび空売りを仕掛けてくる事もあります。
ですから、空売り機関が入った株には個人投資家は手を出さない方が無難なのです。
買った直後に下落して、損失を抱えてしまう可能性が高いです。
その事を裏付けるように、個人投資家の9割以上が損をしているといわれています。
個人投資家に人気の小型株か
次に個人投資家に人気の小型株かどうかを調べる方法はいくつかあります。
その一つが個人の信用買いの大きさです。
以下のサイトにアクセスして検索窓に4桁の銘柄コードを入力してください。
銘柄の情報が表示されますので、信用取引データ欄の「信用買残」の数値を確認しましょう。
トレーダーズ・ウェブは、株式・FX情報を配信する総合投資情報サイトです。株式ニュース、FXニュース、中国株ニュース、株価…
この「信用買残」は、個人投資家が信用で買っている株数です。
この数量が多いほど個人投資家に人気があると判断しても良いです。
また、ヤフーファイナンスの掲示板の投稿数の多い上位銘柄は人気銘柄だと判断しても良いでしょう。
株式投資に役立つ、国内上場銘柄を対象としたランキング。「値上がり」、「値下がり」、「出来高」など約30種類のランキング情…
東証マザースに上場している小型株や東証一部上場企業している企業でも「時価総額」が低い「グロース株」が空売り機関に狙われやすいです。
「時価総額」とは、株価に発行済株式数を掛けたもので時価総額が数百億円程度の株。
「グロース株」とは、将来の成長が期待され市場の基準よりも株価が高くなっているような銘柄。
グロース株は、市場の基準よりも株価が高くなっているため、空売りで下げやすいので狙われやすいといえます。
空売り機関に狙われた小型株の行方
空売りで大幅下落のアイル(6182)
最近、空売り機関の空売りで大幅に下落したアイルを例にとります。
グロース株として業績は好調、6月5日に発表された決算は良好だったのですが、目先少し弱気な表現が見受けられました。
決算発表された翌日、買い気配で始まりましたが、寄り天からの急落、1か月以上経過しても株価は戻っていません。
チャート中の○印が6/5決算発表日でした。
チャートを見ると、決算発表の翌日から窓を開けて大きく下げていることが分かります。
株価は2050円の寄り天から下げ続けて徹底的に売りたたかれてしまいました。
この時の下げ局面では1500円を割っています。
この間、信用買いの個人投資家、現物買いの個人投資家のろうばい売りも加わり、下げに加速がついていることが見て取れます。
決算発表日の6/5までに空売りを積み上げて空売り機関3社で80万株を超えていました。
一方で個人の信用買い残は約57万株でした。
特に6/5は空売りを仕掛けられてアイルのチャートは長い陰線で引けています。
この下げ相場では、「もう反転するだろう」と買いを入れた投資家もいたでしょうが、空売り機関に個人が挑戦しても全く勝ち目はありません。
「落ちるナイフはつかむな」の格言です。
空売り機関が踏みあげられたテラスカイ(3915) 7月17日
時として、空売り機関が負けることもあります。
最近の良い例としてはテラスカイです。
決算発表前に意味不明な大きな下落がありました。
空売り機関が空売りを仕掛けていたのでしょう。
7月15日に発表された決算は、市場の予想を大きく上回る好決算でした。
翌日は、ストップ高、次の日も市場全体が悪かったにもかかわらず、大幅高を演じました。
空売り機関は、空売りした株の買い戻しを余儀なくされ、そのエネルギーも加わって大幅高になったと推測します。
決算発表日の前の空売り機関の空売り株数は約46万株でした。
一方で個人の信用買い残は約75万株でした。
テラスカイは、以前から多くの個人投資家に人気の銘柄。
決着がついたかは定かではありませんが、
ファンドや年金基金が買いに入れば、空売り機関も買い戻しを余儀なくされます。
その後のテラスカイ(3915) 7月22日
その後のテラスカイのチャートです。決算発表日の翌日7/16日から、
土日を挟んで急伸しています。
この時の空売り機関の買い戻しの状況を調べてみました。
下表の赤枠が空売り機関の買い戻しの状況です。
あわてて、買い戻している状況を見ることができます。
この時点では、空売り機関の典型的な負けです。
買いの強さに空売りが出来ず、踏みあげられて、買い戻しを余儀なくされています。
しかし、買われすぎていると、判断するれば、再度空売り機関は空売りを仕掛けてきます。
まとめ
個人投資家に人気の小型株に投資する時には特に注意が必要です。
特に「空売り機関の空売り残が多く」、「個人投資家の信用買いが多い」銘柄は、投資を避けた方が無難です。
以上のような銘柄は、投資を見合わせるか、空売り機関が買い戻しを始め、明確な上昇基調が確認されてからにしましょう。
決算発表日の翌日には大きく空売りを仕掛けられることが多い傾向が見られます。
決算翌日は、多くの投資家の感情が入り乱れてどちらに動くか予想がつかないケースが多いです。
決算内容が良くても織り込み済みの場合は株は大きく売られることもあります。
その意味で、決算をまたぐのは、かなり危険が伴います。
アイルとテラスカイ、対照的な2銘柄の動きをご紹介いたしました。
最後に金融英語を少しだけ
空売り Short selling
信用買い Credit buying
信用売り Credit selling
追 証 Margin call 又は Additional margin
この記事が、少しでもあなたのお役にたち、
ご参考にしていただけたのであれば、
お友達との共有やフォローをしてもらえると大変嬉しいです。