この記事を読めば、「なぜ、業績好調・好決算でも株が上がらないのか?」を理解し、投資判断の幅が広がります。
読者の中にも、業績好調、好決算なのに持ち株が下がってショックを受けた方も多いのではないでしょうか?
株価は「買いと売りの需給で決まる!」と言っても過言ではありません。
銘柄の需給を判断できれば負けを少なくして、勝を多くすることができます。
そこで、今回は業績好調、好決算でも株が下がるケースを実例とともにご紹介します。
株価は需給で決まる!
好決算や好材料が発表されても株価が上がらない!
上がらない理由として、需給が悪化している可能性が高いです。
では、需給の悪化はどうやって調べるのか?
4つの実例を挙げて解説します。
1、チャートが右肩下がり
2、チャートの上値抵抗線が頑強
3、信用買い残と出来高から判断
4、機関投資家の空売り
1、チャートが右肩下がり
マザーズのチャートです。
これらは将来の成長が期待されいるグロース株、特に個人投資家に人気です。
マザーズ銘柄は他市場の銘柄よりも、金融市場の影響を強く受けます。
グロース株に人気が集中している時は割高でも買いが買いを呼び上がり続けます。
しかし、市場環境が悪化すると、大きく売られ急落します。
例えば、金利が上昇傾向になるとグロース株は売られます。
2021年5月17日のマザーズのチャートですが、下値支持線を割り込んで大きく下落しています。
ちょうど、コロナ後の景気回復期待で市場の金利が上昇局面を迎えている時です。
ここまで下落すると少し上がってもすぐに戻り売りに押されるため上がりにくくなります。
つまり需給が悪化しているのです。
将来性を買われてきた個別銘柄を見ても同様のチャート形状になっています。
個人投資家に人気のAI関連企業の「ニューラルポケット」も下値支持線を突き抜け大きく下落しています。
ニューラルポケット【コード:4056】のケース
2021年5月14日に発表されたニューラルポケットの第一四半期決算短信です。
2021年12月期の1株当たりの予想当期純利益は約20円、株価は4,925円、予想株価収益率PERは約246倍、かなり割高な水準まで買われています。
ニューラルポケットは、将来性を期待した個人投資家に人気の銘柄ですが、ここまで急落すると少し上がっても戻り売りに押されます。
市場が悪化して、投資家に割高であることが意識されると売りが売りを呼び急落します。
例え、業績好調かつ好決算を出しても、市場から割高とみなされれば大きく売られます。
チャートからも需給の悪化が読み取れます。
将来的に大きな成長が見込める魅力的な株が大きく下落すると、ここぞとばかりに買いたくなります。
しかし、下がり続けている株は注意が必要です。
株は一旦下げに転じると、移動平均線や下値支持線などの抵抗線でも止まることなく下げ続けます。
投資法としては短期リバウンド狙い、又は底を打って反転を確認することです。
いずれの取引きでも、確実はないので設定した損切ラインは厳守することをお忘れなく。
次に信用買いの多いマザース銘柄エネチェンジの場合をご紹介します。
エネチェンジ【コード:4169】のケース
下図は6月18日のエネチェンジの1日のチャートです。
日々の出来高が10万株程度なのに信用買い残は100万株を超えています。
エネチェンジは、6月18日のザラ場に好材料が発表され、株価は後場直後に急伸しました。
しかし、その後は売りに売られて結局は前日比マイナス10円で引けました。
「エネチェンジの1日チャート」
前日の終値が2073円、好材料が発表されるまでは、株価はヨコヨコの推移でした。
前場と後場の間の時間に好材料が発表されたため、後場開始から買い気配で始まり、最高値が前日比プラス307円の2,380円まで買われました。
しかし、その後は売りに売られて結局は前日比マイナス10円で引けました。
信用買いの投資家がここぞとばかりに戻り売りをした可能性が高いです。
後場の急伸は、絶好の売り場を提供したことになります。
2、チャートの上値抵抗線が頑強
例え、業績好調、好決算でも、上値抵抗線が強すぎて上昇できないこともあります。
上値抵抗線に何度かトライしても、その価格帯での売りが強すぎて上昇できません。
ここでもChatworkのチャートで検証します。
チャートは、Chatworkの価格帯の出来高です。
上値抵抗線1600円近辺の価格帯は、出来高が多く含み損を抱えている人も一定数いることが推測されます。
株価がこの近辺に差し掛かると売りに押されるため、このラインを突破するのは容易ではありません。
3度トライした後、力尽きて下落しています。
価格帯出来高はバフェットコードで調べることができます。
チャートの上値抵抗線や下値支持線の活用はとても重要です。
なぜなら、上値抵抗線を上に抜ければ上がりやすくなり、
下値支持線を下に抜ければ下がりやすくなります。
支持線が4回続けて機能した後、突然、下抜けしたとしよう。それは支持線の概念が機能しないことを示すものではないと、我々は考える。それは極めて価値のある、有益な情報であり、テクニカル分析の概念として最も価値のあるメッセージである。つまり、メッセージである。
オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ著「デイトレード」より
株の動きを毎回的中することは不可能ですが、上値抵抗線や下値支持線を目安にして、株の動きを予想することができます。
上値抵抗線を確実に超えたら買い、跳ね返されたら売り、
下値支持線に当たって反転したら買い、割ったら売り、
など投資に参考になります。
支持線や抵抗線付近では「だまし」もあるので、打診買いや分散売りが王道、一度の取引きはリスクが高いです。
予想に反して逆方向に動いたら、すぐに損切りで対処すべきです。
3、信用買い残と出来高から判断
信用買いが多い銘柄は、業績好調、好決算でも戻り待ちや決済売りに押されて株価が上がりにくいです。
いわゆる需給バランスが悪い銘柄です。
「信用買い」とは、
投資家が証券会社から資金を借りて株を買うこと。
信用買いのメリットは自己資金の3.3倍の投資が可能ですが、
一方で、利息の発生、6か月以内の決済などデメリットもあります。
信用買いで買った株が下がり続けると、信用余力が低下し証券会社から保証金の追加を要求されます。
保証金を追加できなければ、証券会社は強制的に株を売却して決済、株価の要因となり、
他の信用買いや現物買いの投資家も耐えらず売りが増加します。
すると、需給がさらに悪化し下落に拍車がかかります。
大幅に下落すると値ごろ感や反発期待からの買いが入りますが、少し反発しても戻り売りで押される悪循環となり上がりません。
ここでは個人投資家に人気の銘柄コード4448のChatworkを例に取りました。
Chatworkは、主にビジネスチャットツール「Chatwork」の開発、運用を行っている新興企業です。
コロナ渦で株価は大きく上昇した後、調整中ですが、
信用買い残が多く、上値が重い展開が続いています。
1600円付近の上値抵抗線に3度トライしましたが、抵抗線を抜けず、大きく下落しています。
Chatworkの信用買い残を調べると150万株強で、日々の出来高は約30株、約5倍もの信用買い残があります。
信用買い残に対して日々の出来高が少なければ売りを消化できず下がり続けます。
信用買い残は、証券会社に借金して株を買っているので大半は短期投資、株価が買値に戻ってくると戻り待ち売りに押されます。
4、空売り機関が仕掛けている
空売り機関が介入した銘柄は、業績好調・好決算でも株価は下がります。
機関は、個人投資家を振るい落とそうと意図的に株を下げます。
空売り機関は、株価が高いところで空売りを仕掛けて株価を下落に導きます。
空売りとは、株価が高い時に売って安くなったところで買い戻しをして差益を得る手法
特に個人投資家に人気の小型銘柄は空売り機関に狙われます。
個人の信用買いが積み上がっている銘柄も空売り機関の餌食になります。
空売り機関が介入すると、業績好調、好決算でも株価が急落、意味不明な下げ方を演じます。
決算発表の翌日、上がると判断して買った個人投資家は、急落にろうばい売りをするか、売り遅れて含み損を抱えます。
下のチャートは、小型株のアイルのチャートです。
決算の翌日、〇のところから空売りが仕掛けられました。
個人の信用買い残は約60万株も積み上がっていました。
その後もアイルの株価は大きく下落しています。
前日発表されたアイルの決算は、業績好調が確認できる良好な内容だったので翌日は買い気配からスタート、最高値で寄ったところから突然の急落、機関の空売りで大きく下げました。
投資判断としては、事前に空売り機関の介入状況と個人投資家の信用買い残の大きさを調べましょう。
こちらのサイトで空売り機関について実例入りで詳しく説明しています。
個人投資家は空売り機関のえじき、悲しい結末にならないように小型人気株に注意、機関の空売り情報をつかみ、慎重に投資しましょ…
好決算も本業が不調で暴落の銘柄
決算が絶好調でも大きく売られるケースを見ていきます。
銘柄コード3674のオークファンを取り上げてみました。
主力事業の伸びが芳しくなかった例です。
2021年2月12日に発表された第一四半期決算短信は、売上高営業利益、経常利益全てが大幅増益、翌日はストップ高かと思わせるほどに素晴らしい数字を発表しました。
夜間取引市場のPTSでは、決算発表直後に株価は急上昇し、多くの飛びつき買いも見られました。
しかし、翌営業日から窓を開けての大幅下落、チャートをご覧ください。
どうして、このような事態となったのでしょうか?
決算の中身を詳しく見ると理由が分かります。
決算発表時にオークファンのホームページに決算の補足説明資料が掲載されていました。
主力事業の売上高や営業利益は前年同期比では微増でした。
しかし、インキュベーション事業は売上高、営業利益ともに驚異的な伸びでした。
このインキュベーション事業とは何か。
インキュベーション事業とは「ベンチャー企業に対して資金やノウハウ、活動場所などを提供して企業の育成を促進することで企業価値の創出を目指す事業」
つまり、ベンチャー企業などに投資し価値が上がったところで売却して得た売上高と利益なのです。
インキュベーション事業の収益は、本業ではない一時的な収益であるため、市場に評価されなかったのです。
投資を検討する時は、決算短信だけでなく決算の補足説明資料などを調べて判断すべきです。
PTS市場であわてて買った人は一瞬のうちに大きな含み損を抱えてしまったと推測されます。
まとめ
今回は、業績好調かつ好決算でも株価が上がらない原因をご紹介しました。
ご承知のように、株の動きは需給で決まります。
「買う力」が「売る力」を上回れば上がります。
逆であれば下がります。
株の動きはこの力関係です。
この力関係の動きを表した図がチャートや日々の出来高です。
チャートを動きを見ることで投資に参加人たちの感情を読み取ることができます。
大きな上昇は欲望の感情、大きな下落は恐怖の感情。
また、長期チャートを眺めることも必要です。
チャートは人の感情の動き、投資のヒントにすべきです。

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